「“ディアッカ・エルスマン”、だろ?」
「俺、お前に名乗った記憶ないんだけど?」
「君の名前を知ってた奴が俺に教えてくれたんだよ」
「誰それ?ヤロー?」
「残念ながら、男だよ」
うげーと本当に嫌そうに顔を顰めた反応を返した。
実に正直な男だ、この人間は。
「実際名前を聞かされた時覚える気なかったんだけどね」
気が付いたら頭の片隅に仕舞い込まれていた。
それに自覚した時はどす黒い気持ちが渦巻き、覚えてしまった
自分に吐き気がした時の事をよく覚えている。
以前にも違う事でどす黒い気持ちを抱え込んだから。
「俺だって野郎に名前覚えられて呼ばれても嬉しくないね」
こういう憎まれ口を叩くのはAAに捕虜として来た時と全く変わって
いない。最初はそれに怒りが込み上げてきていたが、ここ最近少
しこの人間の扱いを把握し始めて怒りを抑えられる自分がいたり
する。
「そうだね、ミリィには一向に呼んでもらえないんだろ?」
真正面から笑顔で言ってやると案の定唖然とした、今まで見た事
のない顔に崩れた。
「一番名前を呼んで欲しい子に呼ばれないで、男に先に名前
呼ばれちゃったら男として…ちょっと、ねぇ」
しかも名前を呼ばせてもらえないんだろ?
そう笑顔のまま捲くし立てた。
「……んなっ…てめ!」
「まぁ最初が最初だったからね、自業自得じゃない?」
最後とばかりにそう言ってやると、敢え無く相手は撃沈した。
机に突っ伏している彼は暫く立ち上げれなそうな雰囲気のようだ。
ちょっと可哀想だったかな…と思わなくもないが、ミリィを傷付けた
件はこれでチャラとして許して貰おうと勝手に納得する事にした。
「ミリィが君の名前を呼ぶようになるまで
俺も呼ばないでいてあげるよ」
悪戯心でそう言うと、恨めしそうな顔を向けられる。
本人は睨んでいるつもりなんだろうが、全く恐くなかった。
「俺はサイね、サイ・アーガイル」
次の日から彼だけを“サイ”としっかり名前で呼んでいるディアッカ・
エルスマンの姿があった。
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(1『ディアッカ・エルスマン』)2006/03/05・種
サイから見た『ディアッカ・エルスマン』という人間
ディアッカにとって凶悪なサイ。
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