創られた世界と現実する世界の空は想像以上に
違いすぎた。
自分を育んだ土地は予定された日時に雨が降り、
決められた時刻に夜が訪れる。朝も同様に決まっ
た時刻に向かえ、一瞬たりとも狂わない。
夜見る空が現実のものとそう大差ないと生まれ
た頃から思ってきていたから、初めて気が付い
たのは皮肉にも戦争が開戦された時だった。
その時は悠長にも近くにいた友人とそんな会話
を交わした。まだ疑う事なく、あまい考えが幼い
頭を占めていた。
二度目にそれを自覚したのは地球に降りた時。
砂漠は何者も受け入れない。ただ生きようとし
なければ、死が隣合わせになる程昼は照りと暑
さが、夜は闇と寒さが世界を満たしていた。
そしてその中で見た夜空は育った国とは違う、
寒々しい感じしか印象を与えなかった。
しかし、自分の中ではっきりと“違う”と実感した
のはその後の宇宙に上がった頃だ。真っ黒な闇
の中で、太陽の光を浴びて白く輝く光と一部人工
的な光が入り乱れた月、そして月同様に太陽か
ら光を浴びて光る星と自ら我を主張する星。中に
は惑星もあるかもしれない。コロニーもある。ただ
地球だけが唯一真っ青な色をしてそこに存在した。
この月と星空の中で。
「宇宙ってのがさ、こんなに綺麗だとは」
今まで知らなかった。
一人が静かにそう零した。
「怖いくれいにね」
一緒にいたもう一人も同じように静かに答える。
お互いが隣を振り向いたのは同時。
ちらりと瞳を合わせてまた視線を強化ガラス越しの
宇宙に戻した。
一瞬だけその理由が解りかけたような気がした。
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(13『月と星空』)2006/03/05・種
※ディさんはフェブラリウス出身・フェブラリウス育ち、
ミリィはオーブ出身・ヘリオポリス育ち(幼少から)の設定
なので、見ていた空はお互い人工物。
ディさんが綺麗だと思うのも、ミリィが綺麗だけど怖いと
思うのも相手に対しての想い。
どうしてそう見えるのかはお互いまだ無自覚だといい。
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