見えない線で自分を守る
誰にも飛び越えさせないように、近付かれないように
酷くピリピリして警戒している
解っている人たちは敢えて近付こうとしない
けれど唯一人だけは初めからその外側ギリギリに立って
こちらを窺っているのだ
隙があればいつでも内側に入ってこようと…―
医務室に入ると開かれたカーテンから見知った頭が見えた。
様子を見ようとそっと近付いてもそれは動かない。
よっぽど疲れたのか、瞼には影を落としていた。
頭に巻かれた包帯が痛々しく、無理をしていたのが分かる。
(ありがと…)
起こしてしまっては悪いから声に出す訳にはいかない。
だからただ心の中でお礼を呟く。
そして衝動的にぎこちない動きで垂れた前髪に触れた。
柔らかい 綺麗で
優しい ばか
「なんで泣いてんの?」
疲れてるくせに嬉しそうに笑う顔が涙で歪んでいく。
「笑ってんじゃ、ないわよっ…ばか」
はたして
彼が踏み越えて来たのか 自分から踏み越えたのか
いつの間にか何もなかった
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(14『境界線』)2006/03/05・無印最終後