忘れていた言葉があった


 あ、
 と軽く声を上げてひたと止まる

 誰もいない通路に佇んで考える

 何故今まで忘れていたのか
 不思議だ

 けれど今の今まで忘れる程度のものだった
 ということなのだが 

 思い出すと妙に胸がすっきりしていた

 それと同時にあいつの顔が浮かんできた
 そんな自分が可笑しくなって顔が綻ぶ

 でも言ってやらないのだ

 

--------------------------------------------
(15『言葉』)2006/02/20・無印

それが最後の砦
                     閉じる