「なぁ、サイ」
「何?」
「“めぐりあわせ”って信じる性質?」
この艦で“彼女”を除いて唯一
出逢った当初から名を呼んでいる男に聞いた。
否、名を覚え、呼ばざるを得なかった奴だ。
正直、特定の話になると非常に苦手な相手だが、
実を言うと一番話せる相手だったりするのが皮肉なもので。
くだらない話題や“彼女”に関する話…
相談を聞いてしまったりする。
「あまり気にしてなかったけど、そうだね」
何かを懐かしむような目を湛えながら、サイは答えた。
それから何故か苦笑顔になって続ける。
「信じるしかない、かな?」
「君とミリィを見てたら、さ」
--------------------------------------------
(16『チャンス』)2006/12/13・無印
※チャンス(chance)=好ましい偶然、めぐり合せ
閉じる