「…、」

 「何?」

 何かに気が付いたらしい相手は
 すっと自然な動作でミリアリアの目の前で屈むと
 何を言う暇も与えず、其処に手を伸ばした。
 彼女はその動作を見て原因を知る。

 「靴紐…」

 「ん」
 ポロリと零した独り言にディアッカは簡単だが
 律儀に返事を返す。その合間にも長く綺麗な指が靴紐を結ぶ中、
 普段身長差から見る事のない男の後頭部をミリアリアは
 変な気分になりながらも見詰める外なかった。


 「はい、終り」

 体制を戻しながら言われた言葉に
 結んで貰ったその靴紐を見ると、知らず声を洩らしていた。
 「凄い…綺麗」
 普段、その男に対して癪に障る事ばかりで反発をするのだが、
 こればかりは素直に感動して顔を上げて喜んだ。

 「そ?そりゃ良かった」
 自分の仕事に満足がいっているのか、
 彼女の反応に満足しているのか、
 兎に角も目が合った時には至極綺麗な笑顔を浮かべる男がいた。
 あまりに嬉しそうな顔に釣られて顔に熱が集まっている様な
 感覚をミリアリアは覚える。
 「っ…あ、ありがと」

 「いえいえ、
  姫様のお褒めの言葉に預かり甚く光栄 …てね?」





 「……やっぱりムカつくわ、あんた…」




 

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(28『姫!!』)2007/02/20・無印時


                     
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