釈然としないが認めざるを得ないと思った。
“雨宿りすればいい”なんて、なんて遠まわしな言い方。
よくもまぁその意味が解ったと自分で自分を褒めたくなる。
あいつが言った意味を解ったのは本当に突然だった。
トールの夢を見たから。
泣き続ける自分
それを遠巻きに見ていて、解ってしまったのだ。
こういう事かと。
今からやろうとしている事がどんなに突拍子も無くて、
どんなに行き当たりばったりであろうと、気にする事はない。
全てそんな事を言ったアイツが悪いのだ。
向かった先は集合でも掛けられなければ絶対に行こうとは思わ
ない所だったのに、そこに目的があるのだから仕方ない。
目的地に着けば、流石と言うか一番天井が高い。
あちこちで作業音や、そこで働く作業員達の声が飛び交っている。
敢えてそれに目も暮れず、とにかく意思が揺るがない内にとっとと
そこに辿り付く為に足早に移動する。
「作業、終わったの?」
完璧に顔を背けてつい憮然とした物言いをしてしまってから、
声の掛け方を間違えたと気付く。
内心慌てながらも、無理矢理ゆっくりした動作で相手を見やると
その相手は目を見開いてこちらを凝視していた。
「何よ、その顔は」
「あっ、いや…その、…」
「・・・」
「・・・ありがと」
「は?」
「この間のお返しよ!」
「それと!」
「雨に降られたらその時は
あんた呼付けてやるんだからね」
言い置いて自分の仕事場に逃げるように帰った。
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(11『出たとこ勝負』)2006/09/12・種時