雨が降ったのなら
雨宿りすればいい
それだけの事だ
それが常識だろ?
流石に馴染んできたAAの食堂には
ここ最近習慣になっている、否
寧ろ習慣にした光景の対象を改めて見据えた。
― 目が死んでいる。
直感的にそう感じ取れる。
またかと彼は思った。どうしようもない、とも。
それはその対象に対してなのか、違う所に対してなのか
自身でははっきり判らなかった。その両方に対してなの
かもしれない。
何かにつけていつもどこかで見掛ける姿。
場面、状況など異なった条件下を思い起こす。
友人であるサイやキラと一緒にいる時の彼女、
ブリッジクルーやマードックなどのクルーといる時の彼女、
アスランやカガリ達といる時の彼女、
…そして自分といる時の彼女。
真剣な顔、泣いた顔、怒った顔、笑った顔、喜怒哀楽
全て表情に出している。それなのに時折、気が付くと今の
ように目が死に顔には生気を感じられなくなる。
原因を彼は痛い程知っていた。
その時の激情や決意を唯一すぐ傍で垣間見たのだから。
そしてその決意を彼女は口にはしない。まして自分には
決して言わないだろうと彼は思っていた。
けれど彼女の背中が雄弁に語っているのだ。
強いと、凄いと思った。
「突然雨が降って来たら、どうする?」
突然の問いにいきなり何だという目をされたが、敢えて
気付かない振りをして答えを待つ。
元々変なコーディネイターだと思われているだろうから
これくらいの事では彼自身痛くもない。
「…雨宿りするわ」
小さく返って来た答えはやはり常識的なものだ。
後は傘を買うなどもあるが。元来彼女は常識人だし、
思慮深い。それなのに、だ。
降られたらそうすれば良いのだと分かっているのに、
そうしない彼女の姿に彼は苛立ちを覚える。
「じゃあ雨宿りすればいい」
何故しない?
今も尚降られ続けているのだから、そうすればいい。
苛立たしく言われた言葉は誰であっても理解しかねる。
彼女もやはり困惑した顔になって言った。
「言ってる意味が解らないわ、ディアッカ」
だがそんな彼女に構わず彼は言葉を続ける。
「そう俺に教えたのはお前だよ、ミリアリア」
独りでそこにい続ける必要はないと、
確かにあの時彼女は言ったのだ。背中の温もりと共に。
「支離滅裂よ」
話していられないと彼女はディアッカから顔を背ける。
しかし彼にとって一体何なのだと憤りを感じられる顔は
幾分マシなものに見えた。
「解らなくていいよ」
とにかくあんな顔よりはイイ。
本当は笑って貰えるのが一番なのだが、
自分の手には慰められる方法を持ち合わせていない。
だから
「独りで雨に打たれ続けるのだけは勘弁してくれ」
そう言われてミリアリアは弾かれた様に改めて目の前
に座るディアッカを見た。
その彼の無表情だった顔がうら悲しそうなものに変わっ
ていて、胸が熱くなる。
その感情が何なのかは判らなかったが…
ディアッカは悲しそうなままひっそりと微笑んだ。
雨宿りすればいいのだ
独りで全て抱え込んで
涙に打たれ続ける必要性が一体どこにある?
できれば自分に求めて欲しいけれど
誰でもいい、とにかく
雨が降らなくて済む処があるのなら
お前にとってそんな存在がこの中に
近くにいるのならば
涙が止むまで、本当に笑える時が来るまで
そこで雨宿りしていて欲しい
抱え込むなと、周りには仲間がいるのだと
俺に教えてくれたのはお前なんだ
ミリアリア
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(3『雨やどり』)2006/03/29・種時
29『背中合わせて』の続き。 ※雨=涙
毎度ながら読み難い、解り難い話の書き方で
申し訳ない気がしてきた。
にしてもディが偽者くさい…
ロマンチシズムを超えて乙女…
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