戦争が終り、やっと静寂の日々に戻るように
 時間は進もうとしている。
 母国に無事戻って、戦前の自分に戻ろうとするのは
 無理だろう事は既に承知していた。
 一応頭では分かっていたから。
 
 それでも母国に帰って数日経つ今でも
 なんとか元気でいられるのは、
 幸か不幸か
 あの男がいるからかもしれない。
 
 ディアッカ・エルスマン

 何が目的でここに残っているかなんて
 知りたくもないのに
 その要因が自分にあるのだから、嫌でも解った。

 [ 今日は海? ]

 「そうよ」

 [ んじゃ足はエレカでいい? ]

 「ええ、迎えよろしく」

 [ 了解、すぐ行くよ ]

 いつもすぐ傍にいる。
 傍にいすぎて、…凄く困る。

 困るから、どうしようもなくなる前に…―



 「は?今なんて言ったの」
 「だから、これで会うの止めましょう私達」
 「なんで」

 傍にいてくれる訳の原因は負い目であろうと、
 会う度に気付く男の本心。
 これからも、なんて
 堪らない

 「あんた、帰りたそうだもの」

 会う都度、男の視線は時折空へ彷徨う。
 何を見ているかなんて嫌でも判る。
 
 「あ゛〜…もしかして、顔…出てた?」

 顔になんて一度として出さなかった。
 でも目は正直なのだと、誰かに教わった事がある。
 そして確かに、目は正直なのだ。

 「帰ればいいじゃない」
 「いや、でもよ」
 「嫌なんでしょ?友達と敵対するのは、もう」

 先の戦争でキラはアスランと、ディアッカはイザークという人と、
 敵対しているのが誰なのか解っていながら戦っていた。
 苦しそうに。

 「それでも俺はお前が…」
 「終わったのよ、戦争も何も、かも」
 「ミリアリア」
 「私、ウルサイ男は嫌いなの」



 「だから…、帰りなさいよ」

 





 「……分かった」


 ―…自分にも彼にも酷い嘘を吐く




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(25『あなたと私と』)2007/2/2・無印後

30『ミリアリア・ハウ』
帰りたい男と帰したくない女
※22『誓い』とは別話

                     
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